地震予知に挑むブログ

不可能と結論づけられた地震予知。でも、迫りくる大地震の尻尾を捉えたい。

南海トラフ地震は最悪の想定、死者・不明32万人越えの衝撃。予知は可能か

以前にも書きましたが、東海地震を想定した大震法が、南海トラフ地域にも拡大されることが検討されることになりました。

大震法は40年も前に制定された法律で、東海地震の警戒地域に観測機器を設置し、予知と防災の強化を行ってきました。

以前は、東海地震単独で発生すると考えられていました。しかし、東日本大震災以降、研究が進み、南海トラフの東海・東南海・南海・更に日向灘まで連動した巨大地震が発生する可能性も否定できなくなりました。そこで、東海のみの対策強化では不足だと今回の大震法見直しに至ったのです。

また、被害想定も大幅な見直しが行われました。

2003年の想定では、M8.8、死者・不明者は2万4700人でした。

2015年の想定では、M9.1、死者・不明者は、なんと32万3000人です

全く、被害の規模が違うのがお判りでしょう。勿論、最悪のケースと想定した場合ですが。

想定死者が多いのは、静岡10万9000人、和歌山8万人、高知4万9000人などです。その他、三重、愛知、徳島、宮崎などが多く、津波の被害が大きいようです。

改めて見ると、大変な数字ですね。最悪の想定とはいえ、自然はいつも人知を超えてくるので、更に被害が大きくなる事だって、あるかも知れないのです。

例えば、南海トラフの刺激され、富士山や阿蘇山など、大規模噴火が誘発される可能性もあるのです。

 

今後はおそらく観測強化される南海トラフ地域ですが、予知は可能でしょうか。

政府はやはり、予知に関しては消極的なようです。

今は「予知は出来ない」という説が有力なので、観測は強化しても、事前に予知情報は出ない、ということです。

えぇ、じゃあ、なんでお金をかけて、観測を強化するの?

収集されたデータは、次の南海トラフではなく、貴重なデータとして、次の次の南海トラフ地震予知の為に使われるのでしょう。

また異常データが出ても、一部の研究者、政府関係者のみで共有されるのだと思います。

確かに、南海トラフが切迫していると情報が出れば、世間は大混乱に陥るでしょう。たとえ予知につながる情報があっても、一般の人間には、まず届きません。

 

東日本大震災原発の建屋が爆発した時、まだ世間一般の人は、何が起きているのか全く判りませんでした。怪しげな専門家が、安全だとテレビで言っていました。

しかし、その頃、東海道新幹線は満員で西に向かっていたのを、ご存じですか。

東電社員が、家族を西に逃れさせようとしたのです。関係者だけが、本当の危険性を知っていました。

今回の観測強化で、せめて情報公開が進むといいのですが。

予知をあきらめるのは簡単な事ですが、予知で救われる命があるかも知れません。

地震はまたやってきます。多くの研究者が予知に向き合った時間は、決して無駄ではないと思っています。